~ 遠藤の百年後の姿を夢見て(景観100年計画)~

「景観」と「農業」のための行動計画の堤案

私たちの暮らす「遠藤」の特徴とは何でしょう。

それは、まだまだ緑が残されていることと、多くの耕作地があり、営農活動が続けられていることです。谷戸、平地、川などの多彩な地形と畑が広がる田園風景が残され、人の心をホッとさせる空間(地域)を持っていることです。これらの特徴は私たち人間の暮らしにとって、とても価値ある素晴らしいものであると思います。この特徴が今現在、はたして生かされ、守られているでしょうか。


「緑豊かな素晴らしい景観のあるところ」とは、外部から遠藤を見た感想です。遠藤の住民自身も自信を持ってそう言える場所にグレードアップしていきませんか(住民満足度の向上)。またこの地域での農業生産には大変な苦労があり、「労多くして実り少なし」の典型と言えます。悪条件の中でも、たくましく生産を続けられる農業を目指して行きませんか(収益のあがる農業)。農業生産が充実することは、生産者に恩恵をもたらすことはもちろんですが、緑や生物を保全する上でも重要な要素です。


『景観』と『農業』、この二つが持つ価値を基本に据え、遠藤を素晴らしい地域に成長させて行きたいと願い「遠藤の景観と農業を考える会」が発足されています。

会では遠藤の100年後の姿を夢みて(景観100年計画)、2010年をスタートの年とする「行動計画」を立てました。この計画の基本構想は、遠藤を一つの大舞台とし、その舞台で住民一人一人が、それぞれの家族が、それぞれの地区が、役割を演じてもらうことです。

舞台とは、緑、景色、花、四季の彩りなどの植物を中心とする『景観』です。魅力ある『景観』は多くの人から注目され、遠藤の『農業』にも必ず良い影響をもたらすでしょう。『景観』と『農業』を通して遠藤に地域力をつけ、遠藤を是非とも訪れたい場所、永住したい場所の筆頭に挙げられる地域にして行きたいと思います。

「行動計画」は、以下の内容です。順次実施していきます。


1. 桜100本計画(春の景色)

内容  「遠藤には多彩な桜(河津桜、白妙、豆桜、枝垂桜などなど)がある」をテーマとする。既存樹の登録あるいは新植をし、遠藤の春の景色の彩りとすることで、遠藤の魅力を高める。

計画  地主、持ち主の協力を得て、既存樹50本、新規植栽50本を登録する。

① 毎年10本の桜の苗木を植え、5年で50本達成予定

② 既存の桜で今後残せる桜を登録する。50本予定(品種、樹令、形状寸法などで選択する)

③ すべての桜の登録台帳を作る。


2.紅葉木の植栽と柿の木の保存登録(秋の景色)

内容  昔から農家には必ずと言ってよいほど柿の木があり、秋の風情には欠かせないものでした。既存木で残せる木を登録する。また秋の景色として、紅葉木(カエデ類、イチョウ、ニワハゼなど)の映える遠藤とする。地主、持主の方々の協力を得て、道筋にある残せる木は残し、新規植栽もしていく。

計画  

① 柿の木で太くて残せる木は登録し、台帳を作る。

② 植えられる場所を探し、紅葉木を植えていく。


3.100年木(世紀をまたいで生きてきた木)の選定と保存登録

内容    100年を越えた木には風格があり、景色の主役になれる。地区毎に調べ、登録する。

計画

① 木の調査を行い(品種、樹令、形状寸法)登録台帳を作る。

② 長寿番付や太さの番付表を作る。


4.地域に彩りをつける

内容  ヤマユリをはじめとする野草や花を増やし、季節感や彩りを豊かにする。

計画

① 各家庭で植えられる草花、花木を増やす。利用できる山林にも野草を増やす。

② 遠藤の竹炭祭、アジサイ祭、彼岸花祭などと提携し、花畑を作っていく。


※ 現在(平成27年2月20日)この行動計画は「遠藤まほろばの里/藤沢えびね・やまゆり園」の造営活動に発展し、平成27年4月12日に開園の運びとなりました。


5.遠藤探索マップの作成

内容  本計画で調査した事や登録樹木を紹介し、地域活性化の一助とする。


平成21年12月

遠藤の景観と農業を考える会  樹木医/環境再生医(上級) 冨田改


※この会は、平成23年4月にNPO法人を立ち上げ、現在「里地里山景観と農業の再生プロジェクト」として活動しています。